コーヒー栽培を始めて約2年が経ちました。原種に近いティピカをはじめ、ハイブリッド系のカティモール、そしてアラビカ種とは異なる別のコフィア属のリベリカ種なども栽培しており、今年はついに開花させることができました。
この記事では、2年間の栽培経験をもとに、コーヒーの木が最も成長する春と夏の育て方のポイントを詳しく解説します。
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春夏のコーヒー栽培で押さえるべき6つのポイント
- 日光の管理
- 温度管理
- 植え替え
- 水やり
- 害虫対策
- 肥料の与え方
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 日光について:理想は1日1 ~ 2時間程度の直射日光

コーヒーの木は日光を必要としますが、強すぎると葉がダメージを受けたり、成長が遅くなってしまいます。
理想的な日照条件
- 1日1 ~ 2時間程度の直射日光
- それ以外の時間は半日陰で管理
※日光が強すぎるとダメージを負ってしまうため、常に半日陰でも問題ありません。
成長段階による違い
- 幼木期:耐陰性があり日陰でも育ちやすい
- 成長期:より多くの日光を必要とする
日光が不足すると、木に元気がなくなったり葉のツヤが失われてしまいます。冬は室内栽培で光量不足になりがちですが、春夏に屋外で育てると葉がテカテカの状態になります。
環境変化の注意点 急激に日当たりの良い位置に移動させると、ストレスが大きすぎてダメージを受ける可能性があります。環境を変える際は徐々に移動させることが重要です。
2. 温度管理:適温は15℃~25℃

コーヒーの木の適温は15℃~25℃とされていますが、個人的には18℃~22℃あたりが最も育てやすいと感じています。
温度に関する誤解 コーヒーの木は赤道直下の国々で育てられるため高温に強いと思われがちですが、実際の生産地は標高の高い場所です。昼の温度は25℃程度、夜は15℃前後まで下がる環境で育てられることが一般的です。
高温での栽培経験 昨年の夏は40℃近い温度でも屋外で育てていました。30℃を超えると成長は鈍化しますが、成長は続くため、高温でも栽培可能であることは確認しています。
3. 植え替え:春から初夏が最適時期

コーヒーの木は春から初夏にかけての植え替えが適しています。特に春は最も成長する時期なので、大きめの鉢に植え替えることで大幅な成長が期待できます。
鉢選びのポイント
サイズの目安
- 苗木が20cm未満:ロングポットまたは7号鉢
- 苗木が20cm以上:8~10号鉢
鉢の種類 スリット鉢がおすすめです。その理由は:
- 鉢底に軽石を入れる必要がない
- 底部分を有効活用できる
- 根の張り方が良くなる
スリットが入っている分、土が乾きやすく水やりの頻度は増えますが、それ以上のメリットがあります。
直根性への配慮 コーヒーの木は直根性で、主根が下方向に伸びていくため、深めの鉢に植えることでより大きく育てることができます。
土の配合
おすすめ配合
- 堆肥40% + 赤玉土30% + 鹿沼土30%
- または観葉植物の土70~80% + 堆肥20~30%
堆肥を入れることで栄養を与えることができ、土もふかふかになるためかなり成長が促進されます。
植え替えの注意点
土の状態 水やり直後など土に水分が多く含まれている状態で植え替えると、重たい土が落ちて根も一緒に切れてしまう危険性があります。
準備期間 植え替えの3~7日前から水やりを控えめにして、土が乾き気味の状態にしておきましょう。植え替えが終わったらたっぷりと水を与えます。
4. 肥料について:有機肥料がおすすめ

昨年の春から肥料を使い始めましたが、成長スピードが明らかに向上したため、使用を強くおすすめします。
化学肥料vs有機肥料
化学肥料の特徴
- メリット:水に溶けてすぐに根から吸収される即効性、コバエなどの虫が発生しにくい
- デメリット:有機物が含まれていないため土壌微生物の栄養源が不足し、土が固くなる
有機肥料の特徴
- メリット:土がふかふかになる、オーガニック栽培ができる
- デメリット:虫が発生しやすい
なぜ有機肥料を選ぶのか
私は有機肥料を使用しています。最大の理由は土がふかふかになることです。柔らかい土壌だと根を十分に張れるため、幹や枝の成長が促進されると考えています。
団粒構造のメカニズム 土がふかふかになる仕組みは団粒構造によるものです。微生物と有機物、粘土が結合してできる粒が土の中にたくさん形成され、その隙間に空間ができることでふかふかな土になります。
化学肥料を使用すると、微生物の餌となる有機物が不足し、微生物の数が減少してしまい、その結果団粒構造が形成されず固い土になってしまいます。
肥料使用の注意点
使用量を守る 規定量以上に与えないようにしましょう。私は量を守らずに大量の肥料を与えてしまい、最初に購入したブルーマウンテンの木が肥料やけでスカスカになってしまった経験があります。
タイミング
- 植え替え直後は1ヶ月ほど経って落ち着いてから与える
- 気温が30℃を超えると成長が鈍化するため、多く与えすぎると肥料やけの原因になる
- 春から初夏にかけて与え、それ以外の時期は木の様子を見ながら調整する
5. 水やりについて:表面が乾いてからたっぷりと
水やりは、土の表面が2~3cm乾いてから、鉢底から水が出てくるまでたっぷり与えるのがポイントです。
毎日水をあげたり、鉢底に水を溜める栽培方法もありますが、根がダメージを受ける可能性もあるため、上級者向けの栽培方法だと考えています。基本は土の表面が乾いてからたっぷり与える方法がおすすめです。
6. 害虫対策:予防が最も重要

春と夏は害虫に悩まされることがあります。私が昨年被害を受けたのは、カイガラムシとコガネムシです。
カイガラムシ対策
特徴と被害
- 白い綿のような見た目の害虫
- 一度被害を受けると完全退治が極めて難しい
- 繁殖力が非常に強い
対策方法 私は農薬は極力使わないようにしているので、見つけ次第歯ブラシで駆除しています。木酢液を希釈して退治を試みましたが、完全退治には至っていません。定期的にチェックして早期の物理的駆除が重要です。
コガネムシ対策
被害の特徴
- 春から夏にかけて産卵
- 幼虫が鉢に入り込むと根を食べられる
- 気づかずに放置していると木が回復不能な状態になることもある
予防対策 コガネムシの侵入を物理的に防ぐ商品を使うことをおすすめします。早期に気がつくことができれば良いですが、気がついてからでは遅いことも多いため、屋外で育てる場合は予防対策を強くおすすめします。
7. 剪定について:大きさ調整と採光のため

私は大きさの調整と、光が中まで十分に届くようにすることを考えて剪定しています。
剪定後の成長 木が健康であればカットしてから1~2ヶ月ほどすると:
- 頂点をカットした場合:枝が生えてくる
- 枝をカットした場合:枝の先端や他の箇所から新しい枝が生える
注意点 枝を根本から切り落としてしまうと、その場所からは新しい枝が生えてこなくなるので、カットする位置には注意が必要です。
まとめ
春はコーヒーの木が最も成長する時期です。鉢のサイズアップや適切な肥料の施用などの対策を行えば、高確率で大幅な成長を実現できます。
私も収穫期に至っていない成長段階の株がありますので、植え替えや肥料などの対策を行い、この春で一気に成長させようと思います。
春夏栽培の成功の鍵
- 適度な日光(1日1 ~ 2時間程度の直射日光、もしくは常に半日影)
- 適温管理(18℃~22℃が理想)
- 適切なタイミングでの植え替え
- 有機肥料による土作り
- 土が乾いてからの水やり
- 害虫の予防対策
これらのポイントを押さえて、コーヒーの木の栽培を楽しんでください!